2019年3月23日
会員各位
現在、海外で実施されているトファシチニブクエン酸塩製剤の長期安全性に関する市販後臨床試験の中間解析から新たな安全情報が公開されました。この市販後臨床試験は、心血管イベントのリスク因子(たばこ・高血圧・HDL -chol 40mg/dl未満・糖尿病・心血管疾患の既往)を有する 50歳以上のメトトレキサート抵抗性関節リウマチ患者 (主にコーカシアン、アフリカン、ヒスパニック患者)を対象に実施され、トファシチニブクエン酸塩製剤1日10mg群、1日20mg群、TNF阻害薬群で、長期投与の安全性が前向きに比較検討されています。この臨床研究の中間解析において、トファシチニブクエン酸塩製剤1日20mg群で、肺塞栓症と全死亡の頻度上昇が確認され、これに関するアラートがファイザー社から公開されました。(cf. 本邦における関節リウマチに対する、保険承認用量は1日10mg. また、現時点で本試験の中間解析結果に関する具体的なデータの詳細は不明) トファシチニブクエン酸塩製剤1日10mgと20mgが保険承認されている潰瘍性大腸炎については、これまでの臨床試験において、肺塞栓症および全死亡のリスク増加は認められておりませんが、潰瘍性大腸炎患者に対し1日20mgを長期に継続する場合には、念のため注意深い経過観察をお願いします。
特定非営利活動法人日本炎症性腸疾患学会
理事長 渡辺 守