日本炎症性腸疾患学会

医療関係のお知らせ

お知らせ

トファシチニブクエン酸塩製剤の海外における新たな安全情報について

会員各位

 現在、海外で実施されているトファシチニブクエン酸塩製剤の長期安全性に関する市販後臨床試験の中間解析から新たな安全情報が公開されました。この市販後臨床試験は、心血管イベントのリスク因子(たばこ・高血圧・HDL -chol 40mg/dl未満・糖尿病・心血管疾患の既往)を有する 50歳以上のメトトレキサート抵抗性関節リウマチ患者 (主にコーカシアン、アフリカン、ヒスパニック患者)を対象に実施され、トファシチニブクエン酸塩製剤1日10mg群、1日20mg群、TNF阻害薬群で、長期投与の安全性が前向きに比較検討されています。この臨床研究の中間解析において、トファシチニブクエン酸塩製剤1日20mg群で、肺塞栓症と全死亡の頻度上昇が確認され、これに関するアラートがファイザー社から公開されました。(cf. 本邦における関節リウマチに対する、保険承認用量は1日10mg. また、現時点で本試験の中間解析結果に関する具体的なデータの詳細は不明) トファシチニブクエン酸塩製剤1日10mgと20mgが保険承認されている潰瘍性大腸炎については、これまでの臨床試験において、肺塞栓症および全死亡のリスク増加は認められておりませんが、潰瘍性大腸炎患者に対し1日20mgを長期に継続する場合には、念のため注意深い経過観察をお願いします。

 

添付:ファイザー株式会社公開の安全情報

特定非営利活動法人日本炎症性腸疾患学会
理事長 渡辺 守

炎症性腸疾患患者に対するチオプリン製剤使用に関する通知
(NUDT15遺伝子多型検査の保険承認を受けて)

特定非営利活動法人 日本炎症性腸疾患学会
理事長 渡辺  守
厚生労働科学研究 難治性疾患克服研究事業
「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」班
班長 鈴木 康夫

 チオプリン製剤 (アザチオプリン・6-メルカプトプリン) の副作用の中で、服用開始後早期に発現する重度の急性白血球減少と全脱毛がNUDT15遺伝子多型と関連することが明らかとされています1)2)。このたび平成31年2月よりNUDT15遺伝子多型検査が保険承認となっており、初めてチオプリン製剤の投与を考慮する炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎、クローン病) 患者に対しては、チオプリン製剤による治療を開始する前に本検査を施行し、NUDT15遺伝子型を確認の上でチオプリン製剤の適応をご判断いただきたいと思います。現在は保険承認後の移行期であるため、各施設においては検査体制の整備をお願いします。日本人の約1%に存在するCys/Cys型の場合は、重篤な副作用 (高度白血球減少、全脱毛) のリスクが非常に高いためチオプリン製剤の使用を原則として回避してください。Arg/Cys, His/Cysの場合は低用量 (通常量の半分程度を目安とする) からの使用開始をご考慮願います3)。これらの副作用のリスクが低いArg/Arg, Arg/His型の場合であっても、チオプリン製剤の副作用のすべてがNUDT15遺伝子多型に起因するものではありませんので、使用に際しては引き続き定期的な副作用モニタリングをお願いいたします。

NUDT15遺伝子
検査結果
日本人での
頻度
通常量で開始した場合の副作用頻度 チオプリン製剤の
開始方法
急性高度白血球減少 全脱毛
Arg/Arg 81.1% 稀 (<0.1%) 稀 (<0.1%) 通常量で開始
Arg/Cys 17.8% 低 (<5%) 低 (<5%) 減量して開始
Cys/His <0.05% 高 (>50%)
Cys/Cys 1.1% 必発 必発 服用を回避
1) Yang SK,et al. A common missense variant in NUDT15 confers susceptibility to thiopurine-induced leukopenia. Nat Genet. 2014 Sep;46(9):1017-20.
2) Kakuta Y, et al. NUDT15 R139C causes thiopurine-induced early severe hair loss and leukopenia in Japanese patients with IBD. Pharmacogenomics J. 2016 Jun;16(3):280-5.
3) Kakuta Y, et al. NUDT15 codon 139 is the best pharmacogenetic marker for predicting thiopurine-induced severe adverse events in Japanese patients with inflammatory bowel disease: a multicenter study. J Gastroenterol. 2018 Sep;53(9);1065-78.

トファシチニブクエン酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について

会員各位
   
平素より日本炎症性腸疾患学会にご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、2018年5月25日に厚生労働省より「トファシチニブクエン酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について」通知がありました。
 
トファシチニブクエン酸塩製剤(販売名:ゼルヤンツ錠5mg、以下「本剤」という。)については、本日、「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能又は効果として承認したところです。本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化や帯状疱疹等の再活性化が報告されていること、本剤との関連性は明らかではないが悪性腫瘍の発現も報告されていること、本剤の維持療法で10mgを投与する際には慎重に判断する必要があることから、その使用に当たっての留意事項についてご周知いたただきますようお願い申し上げます。
 
会員の先生方におかれましては留意事項についてのご周知の程お願い申し上げます。
詳細につきましては、添付の通知をご参照ください。
 
  特定非営利活動法人日本炎症性腸疾患学会
  理事長 渡辺 守

植物由来製品による健康被害 (疑い) について

会員各位

平素より日本炎症性腸疾患学会にご協力を賜り厚く御礼申し上げます。 さて、2016年12月27日に厚生労働省より「植物由来製品による健康被害 (疑い) について」 通知がありました。


今般、青黛(せいたい)を摂取した潰瘍性大腸炎患者において、肺動脈性肺高血圧症が発現した症例が複数存在することが判明しました。 青黛とは、リュウキュウアイ、ホソバタイセイ等の植物から得られるもので、中国では生薬等として、国内でも染料(藍;インディゴ)や健康食品等として用いられています。近年、潰瘍性大腸炎に対する有効性が期待され、臨床研究が実施されているほか、潰瘍性大腸炎患者が個人の判断で摂取する事例が認められています。

 

会員の先生方におかれましては注意喚起をいただき、ご周知の程お願い申し上げます。 詳細につきましては、添付の通知をご参照いただけますようお願い申し上げます。

 

特定非営利活動法人日本炎症性腸疾患学会
理事長 渡辺 守

 

植物由来製品により健康被害 (疑い) について